川崎フロンターレがいかに”変な”クラブで、その成り立ちを知ることができた。
自分は生まれも育ちも川崎だから、
本書でも語られる”川崎に誇りが持てない”のような気持ちは、とってもよくわかる。
東京と横浜っていうイケてる都市部に挟まれた街の宿命というか…、なんか子供心に出身地川崎と説明するのに「東京と横浜の間の街」と説明するのがなんだか辛かったのを覚えている。
クラブの経営は富士通が母体だけど、富士通色を全面に出すのではなく川崎に根付いたクラブ経営にしようという決断は本当に英断だと思う。
Jリーグ100年構想と言って、「スポーツで、もっと、幸せな国へ。」をスローガンにJリーグは運営されている。
こんな理想があって、Jリーグの各クラブは地域と共に活動をしているのだけど、フロンターレは際立っている。
その動機となったのは、後発クラブであること、さらに人気だった川崎ヴェルディが東京に出ていったことへのサッカークラブに対する川崎市民の不信感だった。その状況がバネとなり商店街の個人商店に営業をしていき、”市民のクラブ”を作り上げていった。
とにかく読んでいて、川崎市民として胸が熱くなった。
川崎フロンターレの後援会に入っているけど、サッカーが強いから入っているわけじゃない。地域の清掃活動から、病院訪問、算数ドリルに選手が登場したり…川崎に住んでいたら、毎日どこかで目にするくらい様々な地域貢献活動をしている。
プロ野球には無い、こういうところがJリーグを好きになった理由だし、川崎フロンターレを応援する理由だ。日本各地でサッカークラブが中核となり地域を盛り上げる。都市部でも地方都市でも、そこに暮らす人たちの誇りとなる。それって、素晴らしいことではないか。
もう一つ、本書を読んでいて感じたのは理想を掲げることの意味。
Jリーグ100年構想もそうだし、フロンターレの地域に愛されるクラブになるもそう。
理想なんてどうせ無理、できないって言われるかもしれないけど、理想があるから頑張れたり、近づこうと努力ができる。現に、人気がなかったフロンターレが、川崎市民の誇りになるような強く・面白いクラブになった。
本書に出てくるスタッフ、選手などさまざまな人たちが、いろんなことを言っているけど、真ん中にあるのは川崎の人たちを喜ばせ、愛される魅力あるクラブになりたいという気持ちだ。
さらにフロンターレが好きになった本でした。